【引退記念特集】GⅠ通算23勝・国枝栄調教師が

【引退記念特集】GⅠ通算23勝・国枝栄調教師が"一流"たる所以とは。フェブラリーS出走予定のシックスペンスら素質馬たちの最新情報も!

01/29 (木) 引退記念特集

定年により、今年2026年に惜しまれつつトレセンを去る調教師を特集する特別企画。美浦からは、国枝栄調教師を取り上げる。

国枝師と言えば、歴代最多のGI9勝を挙げたアーモンドアイ、3冠牝馬のアパパネなどを筆頭に、数々の名馬を送り込み、国内外あわせてGI通算23勝を挙げた名伯楽。

▲レースでは圧倒的な強さを誇る一方、
馬房では愛らしい一面を覗かせるアーモンドアイ

歴代トップクラスのGI勝利を積み重ねてきた一流トレーナーとは、いったいどのような人物なのだろうか――

三冠牝馬アパパネが在籍していた14年ほど前から国枝厩舎を担当し、長年にわたり信頼関係を築いてきた優馬取材班・守屋貴光に話を聞いた。

一流厩舎は、大一番にも動じない

守屋貴光
守屋貴光

国枝さんは、GIなどの大きなレースの前でも、本当に普段通りなんですよね。

もちろん楽しみにしている様子は見て取れますし、勝った後は喜びを表しますけど、レース前に特別な緊張感などは感じないといいますか。

泰然自若

国枝調教師を一言で表すと、
この言葉がピッタリのようだ。


聞けば、期待馬がレースで敗れても誰かのせいにしたりなどせず、「仕方ないよね」とすぐに次走へ向けて意識を持っていくようだ。

だからこそ、
巻き返しにも成功するのだろう。

あのアーモンドアイが有馬記念9着というまさかの結果に終わった翌年、次走のヴィクトリアMでは後続に4馬身差で圧勝したように。

▲いつも気さくな国枝先生(トモ姉撮影)
守屋貴光
守屋貴光

さらにいうと、若手の調教師なんかだと大レースの前にスタッフへ探りを入れたりするんですよね。「どうだ?」って風に。
他のレースだと全く聞かないのにも関わらずです。

そうなると、スタッフだって緊張してしまい、微妙に調整が狂う可能性がありますよね。

しかし、国枝調教師は既に述べたように、GI前だろうと普段通り。だからこそスタッフも必要以上に緊張せず、シッカリ馬を仕上げられるんでしょう。

▲国枝厩舎で働く方々の日常の風景
守屋貴光
守屋貴光

ちなみに僕が担当しているところだと、

栗田徹調教師
(タイトルホルダーなど)
鹿戸雄一調教師
(エフフォーリアなど)
高柳瑞樹調教師
(スターズオンアースなど)
なんかもそうかな。

GI前だからといって特別なことをするとろくなことにならない。普段通りにやって、レースに向かうってのいうのが走る厩舎の特徴だね。

大レース前でも人間側がピリ付くことはない。
これは国枝厩舎に限らず、名馬を育て上げている厩舎の多くが持つ特徴のようだ。

だからこそ、馬の方もアクシデントなく仕上がってレースで実力をフルに発揮できるのだろう。

調教師の落ち着きぶりが、厩舎スタッフの仕事のしやすさに繋がり、結果も出る。一流厩舎の特徴、といえるかもしれない。

競馬界の七不思議
国枝厩舎は新馬勝ちしない

一部のファン間でまことしやかに囁かれている競馬界七不思議のひとつ。国枝厩舎では、後のGI馬が新馬戦で敗れているケースが多いのだ。

新馬戦で敗れた
国枝厩舎のGI馬

マイネルキッツ(新馬戦6着)
⇒ 天皇賞春

アパパネ(新馬戦3着)
⇒ 牝馬三冠含むGI5勝

ダノンプラチナ(新馬戦2着)
⇒ 朝日杯FS

アーモンドアイ(新馬戦2着)
⇒ 国内外で歴代最多GI9勝

サークルオブライフ(新馬戦3着)
⇒ 阪神JF

GIを勝つような名馬でも、
新馬戦は落とすことがある。

気性や状態、そして馬場適性や展開など様々な理由はあるにせよ、明らかに実力で優っていても敗れることがある。それが競馬の面白さ、奥深さのひとつかもしれない。

ただし、新馬戦の敗北を「不思議」で終わらせないのが一流たるゆえん。師の手腕について、守屋はこう語る。

守屋貴光
守屋貴光

もちろんちゃんと仕上げているし、手を抜いているところはないけどね。でも、「むしろ負けた方が、次勝てるんだよ」って声もあったりだね。

まあ、ひとつ言えることは、修正力が高いってことかな。

修正力

敗れた中でも原因を探り、突き止め、次へ活かす。最近だと、外厩牧場とのコミュニケーションも重要な点だろう。

国枝厩舎は様々な側面において、馬を修正する能力に長けているといえる。

▲国枝厩舎の玄関先には、
GⅠ馬のネームプレートが数多く飾られている

また、無理やり人間の都合に当てはめて番組を決める調教師でもない。

去年、プラチナトレジャー(ОP秋陽ジャンプS⇒0.7秒差の圧勝)を中山大障害に使うつもりが、満足いく状態にまで上がってこないという理由で登録しなかったらしい。

▲次走に期待がかかるプラチナトレジャー
守屋貴光
守屋貴光

プラチナトレジャーは飛越のセンスがあるし、スタミナ豊富で楽しみな存在。

中山大障害にも使えないことはなかったみたいだけど、馬の将来を考えて見送った形ですね。

決して人間側の都合を優先せず、馬に寄り添い歩み続ける。

"馬ファースト"

国枝厩舎には、まさにこの言葉がピッタリだろう。

国枝厩舎なき後も競馬は続く

国枝厩舎が解散すると、いま在籍している馬たちは他の厩舎に転厩することになる。

最後に、転厩後も活躍に期待できそうな馬をいくつかご紹介させていただく。

アロンズロッド(牡4)

< 次走予定 >
 2/14(土) 東京9R 箱根特別 
(芝2400m)


昨日1/28(水)にウッドで時計を出していて、順調に調整できているとのこと。
次走の鞍上は、ルメール騎手を予定しています。

「素質は重賞でも」と期待している馬ですし、勝って準オープンへいきたいですね。(守屋memo)

レイニング(牡4)

< 次走予定 >
 2/22(日) 東京10R ジャパンC2025年ロンジンワールドベストレース受賞記念(芝2000m)


本日1/29(木)、
美浦トレセンに入厩しました。

順調なら、2/22(日)の東京10R・アメジストS(ジャパンC2025年ロンジンワールドベストレース受賞記念)出走を予定。鞍上は未定です。

「前走がいい勝ち方だったし、爪の不安も出ていないので勝ってオープンへ!」と、期待大の様子でした。(守屋memo)

シックスペンス(牡5)

< 次走予定 >
 2/22(日) 東京11R フェブラリーS(ダ1600m)


本日1/29(木)、
美浦トレセンに入厩しました。

まだ騎手は未定ですが「前回は初の一線級が揃ったGIで、砂を被らせないよう積極的に運んだが厳しかったね」と。

ワンターンの東京マイルなら、やはり侮れないかと思います。(守屋memo)

これらの馬がターフで躍動すれば、
国枝調教師としても嬉しい限りだろう。

国枝厩舎解散後も、元国枝厩舎の馬の活躍を見守り、時に名伯楽に想いを馳せたい。

▲厩舎に掲げられたネームプレートを見られるのも
残りわずか。最後まで名伯楽の雄姿を見届けよう!