【安田記念】充実一途の5歳が東の総大将

【安田記念】充実一途の5歳が東の総大将

06/04 (木) 美浦追い切りレポート

6/7(日)東京11R 安田記念(GⅠ)

GⅠシリーズのラス前になる安田記念には、昨年の春秋マイルGⅠを制したジャンタルマンタルが参戦せず。従って、本来は層の厚いカテゴリーとはいえ、ハードルを下げて組み立てるべきか。そんな状況になるとトロヴァトーレの充実ぶりを取り上げたくなる。

柴田卓哉
柴田卓哉

キャリア5戦目の当舞台でいきなりの(そこが初マイル)1分32.5秒があるわりに、4歳春までは矯めて一瞬の切れを生かすには中山が適舞台という 格好になっていたトロヴァトーレ

実際、昨4月のGⅡ勝ち直後に挑んだ安田記念は、外枠もあって道中でブレーキが利かずに万事休す。その後、ダートに転じることがあった反面、それが経験値UPに繋がったとの見方が成り立つわけで、その成果がここにきての連勝。

確かに、着差は僅かだったが、脚を温存して坂を上がってから前を呑み込む迫力には頭が下がる思い。今季になってからは迫力ある稽古の繰り返しでそれには納得が行く段階だし、今回も1週前を経た挙句、馬場悪化の直前では、先週には劣勢だった同じパートナーに対し、測ったように捕えての半馬身先着で撓むような見事なフォームに。デキには太鼓判を捺せる

柴田卓哉
柴田卓哉

ガイアフォースが主役の一角を占めるのは間違いない。

絶対王者が不在となれば、自然と浮かび上がるからだ。しかも、昨年の2着は4月・香港からのタイトなスケジュールで、実質が直前の1本だったのに対し、能力を出し切れずに結果的に消耗の少なかったドバイからであればリフレッシュがなったことに。

現に、ビッシリ追った先週には坂路50.3秒で昨春以上は確実。あともう1点、トロヴァトーレ同様、こちらも芝以外にも色目を使っていて、一昨年にはフェブラリーSでの2着がある。能力の表れであり、その面からも以上の2頭、どちらに◎を打つか直前まで迷いそう。

柴田卓哉
柴田卓哉

レーベンスティールが絡んできそう。

最終追いは予想外の単走だったが、悪化した馬場を考えれば納得が行くし、1週前の3頭併せで最内から目論見通りに弾けたことを含め、リズム良く進められる道中を我が物にしたことでひと皮剥けつつある。確かに、マイルに転じてからは[0.0.0.2]。

けれども、いずれも右回りで、昨秋のGⅠなどは追走するだけで負担が大きく自己完結。そのわりに、大阪杯では隊列が決まって外を追い上げる状況ながら、スパートした4角手前からは‘あわや’のシーンさえ。つまり、こなせる範囲を着実に広げていることを進化と捉えて良いわけ。坂下で追い出しを待つ余裕があった昨秋・毎日王冠の1600m通過が1分32.6秒。府中なら。

柴田卓哉
柴田卓哉

逆に、同じ厩舎シックスペンスは少々パンチ不足。

ラスト2週の1Fが11.0秒、11.2秒だったのは、体つきが良化した直近からの成果だし、持ち前の身体能力を考えれば頷ける。しかし、先週には追走したレーベンスティールに対しては‘参った’といった印象で、直前を含め、馬体が合うと凭れ気味になって集中を欠く感じなのが気懸かり。

勿論、前後半差1秒5のスローだった前哨戦が外枠だったにも関わらず、道中で収まりがついたように収穫はあった分、全くの無視は危険だが。

柴田卓哉
柴田卓哉

復活したステレンボッシュは注目に値する。

3月の復帰戦は直前坂路と手探りだったのとは対照的に、直近ではコース追いと転厩2戦目にして仕上げのノウハウを把握できたのが何より。それがエプソムC惜敗に繋がったし、一旦抜け出した分、勝ち馬の目標になったというデリケートな差なら、トロヴァトーレのライバルとして良いわけ。

加えて、強い負荷をかけるより、平常心を保ちつつ終いを伸ばすパターンが板についた模様で、本格始動からの2本がいずれもシャープな捌き。特に、耳をそばだてるようにして、鞍上の合図を待つ感じから鋭く伸びた1週前から更なる上積みを感じるべき。確かに、当距離は8着と伸び悩んだ昨春のヴィクトリアM以来だが、唯一のGⅠ勝ちが桜花賞。マイル適性に疑いを挟む余地なし。

柴田卓哉
柴田卓哉

アドマイヤズームが回避した今回、明け4歳の牙城を守るのがパンジャタワー

何せ、当舞台は1戦1勝で、それがNHKマイルCとあれば相応の評価が不可欠。確かに、海外遠征を含め、昨秋からは少々期待外れだが、高松宮記念は1.06.3秒といった異次元の決着に戸惑っただろうし、3歳夏から馬体重が増えていなかったように、その時点の良化度がスローで本物でなかったと総括できるのでは。要はエクスキューズは成り立つわけで、実際にコース追い2本で追い切りの坂路も前回時を2秒近く上回るタイムと上昇急。

唯、以前より胸前が大きく発達した、どちらかと言えばスプリント仕様になりつつある。この距離では脚の使い処が鍵になりそう。

6/6(土)東京12R 稲城特別

3歳が上の世代に混じるといったことで新たなフェーズを迎える開催がスタート。

柴田卓哉
柴田卓哉

その中、是非取り上げたいのが、土曜・稲城特別のウップヘーリア

3戦目に西下して挑戦したのが毎日杯でそこでは4着。が、レースの上がりが33.4秒と切れが最優先の状況だった上に、ポジションが悪くて結局は外々のロスが。にも関わらず、GⅢで崩れなかったのが立派だし、それを含め、1月・中山で脚を余したことから、ここ2走は完全に距離不足。

また、立て直した効果で幅が出た馬体を見せつけているのに加え、ラスト2本が3頭併せと成長度に見合ったメニューで、追い切りでは両サイドからサンドされる形から余裕があってのラスト11.7秒。以前より格段に走りのバランスに秀でてきた

6/7(日)東京5R 2歳新馬

そして、いよいよ2歳がデビュー。その口火が切られる府中の3鞍のうち、最も興味深いのが日曜5Rの芝1800m戦で、ここではジョドレルバンク。

柴田卓哉
柴田卓哉

水曜は風雨の強まった時間帯に登場して、多量に水を含んで重くなったチップを避けて芝コースへ向かったジョドレルバンク

セーブ気味に進んでの行き出し4Fで54.7秒と感触を確かめる程度のフィニッシュだった一方、綺麗な首差しからトモへの流れるようなラインと共に、バランスの良さを存分に見せつけた追い切りでポテンシャルを再確認できた。

そもそも、先月の再入厩からDWでピッチを上げた結果、1週前などは調子を上げている古馬3勝クラスを追いかけた上に、その外といった大きなコースロスがありながら最後には1馬身抜き去ったほど。器が違う

柴田卓哉
柴田卓哉

サノノキセキの素質を買う。

こちらも均整の取れた馬体で、若駒離れした筋肉量が何とも魅力。実際、DWでの併せ馬2本はいずれも追走で、負荷UPを図った先週は、全身を使ったフォームでゴールに近づくにつれ、勢いを増した結果と追っての味が十分に伝わってきた。

尾形和厩舎の定番で直前は坂路でのしまい重点だったが、雨に祟られた馬場での1F12.2秒。昨年の当開催で新馬勝ちを果たし、皐月賞に駒を進めたすぐ上のサノノグレーターを彷彿させる。


柴田卓哉
清水成駿の直弟子

柴田卓哉

調教 新馬

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙「1馬」在籍時には、「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。長年に渡ってトレセンに通い、今でも美浦スタンドで眼を光らせている。仕上がりを的確にジャッジする腕に、亡き清水成駿も厚い信頼を寄せていた調教の鬼。データが最も少なく難解な新馬戦を己の庭としており、世間が驚く穴の激走を仕留める。